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2020年。今年作曲家の岩垂徳行さんは作曲活動30周年という記念すべき年を迎えました。セガでの音源コンバージョンから始まり、グランディアやルナ、ラングリッサーなど、30年間数多くのゲーム作品の音楽を製作してきました。今回、RPGamer記者、エルモン・ディーン・トッドが独占インタビューをさせていただく運びになり、岩垂徳行さんに作曲家としてのこれまでの歩みや最新作に関していろいろ語っていただきました。
エルモン・ディーン: 岩垂さんは1990年から現在まで多くのゲーム音楽を作曲してき
岩垂徳行: 音楽大学を卒業してからバンド活動をしていましたが、
その間に数多くの楽曲(主に洋物ポップス) の演奏をしてきました。その後、 大学時代の友人からの勧めもあってゲーム音楽を専門に作る会社に 入社ました。まず最初に携わったのがメガドライブ版「 アフターバーナー2」のコンバート作業です。 FM音源にはある程度慣れていたのですが、 パラメーターが違ったりと思ったように音が作れずに苦労しました 。作曲に関してはメガドライブの「インベーダー’90」「 ジノーグ(Wings of Wor)」「ラングリッサー」 が同時期くらいに始まったと思います。 実は入社前にPCエンジンの「インベーダー復活の日」 というゲームの1面、2面の曲を作曲しました。 このときは譜面での提出だったのですが作曲日で考えるとこれがキ ャリアの始まりだったんだな、と思います。
EDT: 世界の皆様に岩垂さんの音楽が親しまれるきっかけとなった代表的
岩垂: 溝口さんと藤岡さんは同じ会社の社員でした。
お二人とも僕よりも年上ですし様々なキャリアもある、 とても頼りになる先輩方でした。 同時期に複数のタイトルに携わることが多かった当時は、 作品ごとに誰がどの分野を担当するかを相談しながらその都度決め ていました。例えば「LUNAR」 ではオープニングテーマ曲など重要な曲をほとんど書いてますが、 「ラングリッサー」では例えば味方の曲は僕と藤岡さんが、 敵の曲は溝口さんが’・・・と、 それぞれ得意分野の曲を担当することが多かったです。
EDT: 岩垂さんが影響を受けたアーティストや音楽、
岩垂: そうですね、
子供の頃はテレビやラジオから流れてくる日本のポップス、 アニメなどのテーマ曲に興味を持っていました。 その後本当に様々なジャンルの音楽に興味を持ち、 繰り返し聞いていましたね。 クラッシック音楽では、Gustav Mahlerの作品が特に好きで交響曲第1番は何度も聞いていま した。Tchaikovsky(交響曲4.5.6番が大好き)、 Brahms(交響曲第2番が好き!)、Beethoven( 交響曲の3.5.7.9番)、Mozart(交響曲41番) など、比較的大編成での曲が好みですね。 ポップスでは、Michael Jackson、Madonna、Princeなど1980- 90年に活躍してたアーティストが好きですね。Quincy Jonesは素晴らしいです! 当然ながらBeatlesの影響も受けていますが、Paul McCartneyの曲は好きだなぁ。 いつ聞いてもセンスがいいなぁ、って感心します。 ロック・ プログレ系はキーボードが入っているバンドがいつも気になってい たので、Deep Purpleを聴いてましたね。 Brass系も好きなので、Tower of Powerとか、 とにかくBrassが活躍しているものは色々と聞きました。 映画音楽ではJohn Williamsですね。とても素晴らしい! 日本のアニメでは「宇宙戦艦ヤマト」の曲を作った宮川泰さん( Hiroshi Miyagawa)の曲を何度も何度も聞きました。
EDT: 初代ルナに関してですが、
岩垂: メガドライブ版も好きなのですが、CD-
DAでの再生のため1曲30秒くらいで作らないといけない制約も あり、色々と自分としては「作り込めなかった」 気持ちが大きかったんです。 PlayStation版を作成にあたり全曲を作り替えることで ユーザーの皆様には色々と混乱させることになったとは思いますが 僕のイメージするLUNARの世界はこちらです。 ただプレイステーション版は内蔵音源での制作となり、 表現しきれない部分がたくさんありました。 PSP版を作ることが決まった時に( 予算はとても少なかったのですが) 採算度外視で多くのミュージシャンにも協力してもらい、 やっと自分の求めるサウンドが出来上がったと思います。 ですので、ぜひPSP版を聴いてください!!
EDT: 岩垂さんはグランディアやルナ、ラングリッサー、
岩垂: 僕はその作品に合う世界観が出るように、
スタッフとも相談しながら音楽のスタイルを考えていきます。 シューティング、アクション、シミュレーション、RPG・・・ それぞれのジャンル、時代設定、場所設定、 主人公の年齢などを考慮して、 もっとも適切なスタイルを構築しようといつも思っています。 アマガミ、LoveR Kissなどの恋愛シミュレーションは現代の中・ 高校生を主人公にしている作品ですので、 その雰囲気に合った楽曲を考えてますね。LoveR Kissなどのすぎやまいちろうさんの作品は全体的に「憂い」「 せつなさ」というのもテーマとしてあるので、 そのような気持ちをテーマに含めることが多いです。 とにかく作品ごとに楽曲の方向性を変えていく、 作品に合った楽曲を作る!これが最も重要だと思っています!
EDT: 今年 Twelve Doors と言うアルバムが和洋レコーズより突如発表されました
岩垂: 2019年4月に、
ニュージーランドのヴァイオリニスト磯村ショーノさんから熱いメ ールが来ました。 「人間いついなくなるかかわからない、 明日自分はもういないかもしれない、 音楽を弾けなくなるかもしれない。 東日本大震災復興支援やこうしたゲーム音楽での活動を経て感じた ことが ”毎日を精一杯、悔い(くい)の無いように生きること” の大切さです。 自分が得意とする演奏でゲーム音楽を一人でも多くの人に聞いてい ただきたい。そして今回のアルバムを通して、 自分が一番尊敬するゲーム音楽作曲家の岩垂様の音楽を届けたい。 」 すぐに最大の感謝を込めて返信をし、 このプロジェクトが始まりました。 多分2000曲以上ある僕の曲の中からの選曲と、 その許諾を得ることが1番の困難で、 許諾を得ることができなかった曲も多かったですし、 とにかく楽曲を適度な数に絞るのが大変でしたが、 ショーノくんの好みと、きっと聴いてくれるユーザーが( たとえ自分の好きな曲が入っていなくても) 納得してくれるだろう選曲とアレンジを進めていきました。 アレンジャーには大島ミチルさん(劇場版「鋼の錬金術師」 の音楽が大好き!)ほか、大勢の方が加わってくれています。 原曲を損なうことなく、 より幅を広げてくれているアレンジにとても満足しています。 日本から僕の推薦で八木遼太郎さん(Ryotaro Yagi) にLUNAR2のバトルの曲をアレンジしてもらいました。 彼はまだ若いですが、とても有望ですよ! 原曲を大切にしながらもとてもドラマチックに広げてくれます。 それから、今作品にはオリジナルの新曲が1曲入っています。「 Overcome」という曲ですが、作曲に取り掛かった頃、 中国武漢でコロナウイルスが発生した時期で、 当時の状況をテレビやSNSなどで見かけるたびに「負けるな、 頑張れ!」という気持ちが強くなり、 どうしてもこの曲が書きたくなってしまいました。 録音は、残念ながら僕は行くことが出来なかったのですよ。 ちょうどコロナウイルスが世界に蔓延し始める頃だったのでしかた がないですけれど、バイオリンのショウノくん、 ピアノのベンヤミンの演奏を生で聞きたかったなぁ。 それだけが悔やまれます。 全部で12のドアを開いてみると、 それは本棚に積まれている本のようにそれぞれ別の世界が広がって います。ページを開くときの、 あのドキドキする高揚感をぜひこのアルバムでも楽しんでみてくだ さい。
EDT: 岩垂さんは国内外のインディーゲームに音楽を提供したいと思った
岩垂: 昨年、上海で行われている「WEPLAY」
というイベントに出演しましたが、 そこでは多くのインディーゲームも展示され、 最終日には表彰式もあったのでプレゼンテーターをしたのですが、 インディーゲームは面白いですね。 日本語で打ち合わせができれば!という条件がつきますが、 自分たちが「これは絶対面白い!!」 と思っているインディーゲームならぜひ一緒にその作品を作ってい きたいですね! お知らせできるプロジェクトは、、、うーん、
まだお知らせすることはできないのですが、 2022年頃には今携わっている新作が発売される予定です。 そのほかはホームページやTwitterなどのSNSで随時発信 していきますのでチェックしてみてください。 岩垂徳行 ホームページ: https://iwadarenoriyuki.com/
Twitter: @iwadaren
Facebook: https://www.facebook.com/iwadare
RPGamer and Elmon Dean would like to express our deepest thanks to Noriyuki Iwadare for taking his time to talk to us. Grandia HD Collection is currently available for Nintendo Switch, and Grandia HD Remaster is currently available on PC via Steam. Langrisser I & II Remake is now available for purchase in North America for Nintendo Switch, PlayStation 4, and PC. Twelve Doors – Tribute to Noriyuki Iwadare is available now at Wayo Records.
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